遺言書を残しておくメリット?/公正証書・自筆証書

Q.   遺言書を残しておくメリットは?

遺言書を書いて残すことは多くのメリットがあります。

むしろ遺言書がない場合には相続する側も困ることが往々にして起こりえます。

遺言書のメリットは「遺言者本人」と「相続する家族」にありますので、それぞれご紹介したと思います。

 

<ご本人とってのメリット>

☞ 相続する遺産についてご自身の意思を明確に示すことができます。

☞ 確実に財産を特定の人に残すことができます。

☞ 高齢期を安心して過ごすことができます。

遺言書は、遺産相続をどのようにしてほしいかという指示をするための書類です。

形式や内容は法律で決められていてその内容には法的な効力があるため、遺留分に抵触しない範囲であれば基本的に遺言書ご本人の希望に沿う形での相続の実現をさせることができます。

円満な相続がどうやったらできるかを事前に考えておくことができるので、ご家族にとっても嬉しい場合が多いのではないでしょうか。

 

<ご本人のデメリット>

☞ 手間は多少かかる。

親族などに財産をどのように残していくかを考えることになりますので、手間といえば手間になるかもしれません。

また自筆で書く場合には法的にのっとった形式にする必要がありますし、公正証書にする場合には公証役場での手続きなども必要になります。

しかし手間と感じるかどうかは考え方ひとつなのではないでしょうか。

ご自身が大切にされてきたモノや財産を自分のこれまた大切な家族に残すための作業ですし、前向きに楽しんで取り組まれる方も多くおられます。

 

 <相続されるご家族等にとってのメリット>

☞ 遺言書があれば相続手続きがぐんと楽になります。

ご本人被相続人が亡くなると、相続人である遺族は亡くなった方名義の銀行預貯金の払戻をしたり不動産の名義変更をするなど多くの手続きをすることになります。

このとき「遺言書」があれば、銀行など金融機関での解約(払戻)手続きや不動産の名義変更の場合にスムースに手続きを行うことができます。

遺言書が残されていてそれが法的に適正なものである場合には、その遺言書のとおりに相続が行われていきます。

また原則として、手続きの際には相続人全員が書類を準備する必要はなく、その財産を受け取る人の分だけですむことになります。

例えば「長女に不動産を相続させる」という遺言書がある場合には、長女が相続人として遺言書と権利証、戸籍謄本などを提出することで相続登記が可能となります。

 

 <ご家族にとってのデメリット>

法定相続の割合でない遺言書の内容もあり得ますので、それが遺留分が守られている範囲だとしても、場合によって特定の相続人にはメリットと感じられない場合もあるかもしれません。

 

 <遺言書がない場合はどうする?>

もし「遺言書」がない場合は、銀行からは払戻手続きができないので「遺産分割協議書」(相続人全員で協議をしてまとめた書面)を持参してくださいと言われます。不動産の相続手続きも同様です。

 ちなみに遺産分割協議書とは?‥‥

遺言書がない場合には相続人全員で話し合いをして、その合意の内容を「遺産分割協議書」にまとめ全員分の印鑑証明書を付けることによって手続きを行うことになります。

基本的には法定相続の割合に沿って検討していくケースが考えられますが、これも家族によって色々な事情がありますのでやはり協議内容の合意は重要となります。

また遺産分割協議は相続人全員の合意が前提ですので、相続人の数が多かったり、全国に散らばっていたり、家族が疎遠になっていたりすると、書類を集めるだけで一苦労となります。

例えば地方の不動産が相続の対象になっている場合などは、誰がその不動産を譲り受けるのか、全員で共有にするのかなど、後々まで続きかねない悩みなども出てきます。

事前に起こり得ることが想定されるのであれば、円満に進められるように遺言書で残しておくのがベターです。

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【遺言書をより活用できるケースの例】

遺言書は、基本的にどのような方にとってもご自身の相続の意思表示として有効になりえますが、次のようなケースには更に活用する意味が多く出てきます。①から⑫までよくあるケースとしての例を見ていきます。

 

☞ ケース① 「あの財産」を「あの人」に残したい

特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合です。

ご自身が亡くなられた後の遺産分割協議や法定相続分の割合では、ご自身の望む通りにはならない可能性があります。

☞ ケース② ご自身にお子さんがおらず、相続人が配偶者とご自身の兄弟姉妹になる場合

この場合、推定相続人は「配偶者」「兄弟姉妹」となります。法定相続分としては配偶者が3/4、ご自身の兄弟姉妹が1/4となりますが、兄弟姉妹には「遺留分」が認められていませんから、ご自身の死後に遺産分割協議を設けさせるのではなく、事前に遺言書を残しておくことで、配偶者と兄弟姉妹が争う余地がなくなります。

 ☞ ケース③ ご自身が再婚をされ、先妻にも後妻にも子供がいる場合

疎遠になっている場合もありますし、ご自身が亡くなられた後に無駄な争いを生じさせないようにします。

☞ ケース④ ご自身にお子さんが複数おられ、世話をしてくれた子に財産を多く譲りたい

同居して介護や世話をしてくれた子に多くの財産を与えたいと思われる場合には、ご自身の希望を書いた遺言書が必要となってきます。

☞ ケース⑤ お子さん達が複数いて国内と海外に分かれて住んでいる

ご自身の推定相続人が国内と国外にいて、財産である国内の不動産を国内に住んでいる推定相続人に相続させたい。遺言書を残すことで相続による移転登記がスムースに行えます。

遺言書がない場合には、相続財産の分割がなされていませんから、相続分割協議が必要となり手続きが難しい状況が想定されます。

☞ ケース⑥ 推定相続人以外の人に財産を与えたい。子の配偶者、孫、または兄弟姉妹など

一旦相続が行われ相続人からそのような立場の人に財産を譲れば、相続人からの贈与という形になり、贈与税の対象となります。

☞ ケース⑦ ご自身が会社オーナーで、後継者へ自社株や会社で使用している不動産等を確実に相続させたい

遺言書を作成することで、会社の経営が停滞したり、支障が起こらないようにします。

☞ ケース⑧ 内縁の妻や認知した子がいる場合

内縁の妻には相続権がありません。また認知した子の場合には、嫡出子との話合いが極めて困難になってきます。

☞ ケース⑨ 世話になった第三者に財産を渡したい場合

相続人がいなければ、世話になった方への遺言によって希望を叶えます。

☞ ケース⑩ 財産を公益事業に寄付したい場合

相手先の寄付の受入れ状況を確認が必要です。

☞ ケース⑪ 相続人がいない場合

その後の手続きの煩雑さを考えれば、遺言することが望ましいと思われます。

☞ ケース⑫ 銀行借り入れ等で賃貸ビル等を建築し、賃貸料で借入金の返済をしている場合

遺言書が残されていないと、賃貸収入は遺産分割協議がととのうまでの間、相続人の法定相続分によってそれぞれに帰属することになります。

 

<まとめ>

以上、遺言書のメリットについて簡単に説明を差し上げました。

「遺言書」は「遺言するご本人」にとっても「相続人となるご家族等」にとっても円満な相続に導いてくれる制度です。

自分のため、家族のために、将来にむけて、まずは遺言書の作成を検討されることをおすすめします。

「これからの高齢期を安心して過ごしたい」とお考えの皆さまに少しでもお役に立てたら幸いです。

 

 

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