特定建設業許可の許可要件は?/建設業許可

特定建設業許可は、一般建設業許可と比較すると大きな工事に関わってきますので、下請業者の保護等のために「元請業者」に対してより厳しい条件を課しています(基本的に「元請業者」を対象とした許可です)。

一般建設業許可との違いは「専任技術者」と」「財産的基礎」の2点です(建築業法15条~17条)。

他の要件に関しては原則的に一般建設業と同様となります。

【特定建設業の許可要件】

次の1⃣~5⃣までのうち1⃣と2⃣がより厳格化されていますのでチェックしてみてください。

 1⃣ 「人に関すること(人的要件)」:常勤役員等と専任技術者

 2⃣ 「お金に関すること(財産要件)」 

 3⃣ 「営業所に関すること(施設要件)」:適切な営業所を構えていること

 4⃣ 「信頼に関すること(誠実性・欠格要件)」:欠格要件などに該当しないこと

 5⃣ 「社会保険に関すること」:適切に社会保険の加入義務を果たしていること

では少し詳細を見ていきます。

1⃣ 「人に関すること(人材要件)」⑴ 常勤役員等の経営業務の管理責任者 ⑵ 専任技術者

まず人材要件の1つ目として「⑴常勤役員等の経営業務の管理責任者」。

⑴  常勤役員等の経営業務の管理責任者

会社経営を取りまとめる存在として「経営業務管理責任者」を置くことが求められています。

この経営業務管理責任者になるのには一定の経験が必要で、🎨パターンA🎨パターンBがあります。

の違いは、経営業務管理責任者が単独で行うか、補佐をつけて行う必要があるかの違いです。

🎨パターンAは「常勤役員等の経営業務管理責任者」の「単独」の経験でOKとなります。

🎨パターンBは「常勤役員等の経営業務管理責任者」に加え「常勤役員等を直接補佐する者」の経験が必要です。

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🎨パターンA 「常勤役員等の経営業務管理責任者」単独での経験でOKの場合

☞ 法人では「常勤の役員のうち1名」、個人では「個人事業主または支配人」が次のいずれかに該当すること。

建設業許可 経営業務管理責任者1

<経験の例として次のようなものが該当します>

① 業務執行社員、取締役、理事、個人の事業主や支配人・支店長、営業所長等( 営業取引で対外的な責任を負っていたもの )

② 執行役員等( 取締役設置会社にて具体的な業務執行に専念した経験があるもの )

③ 法人では支店長、営業所長、工事部長などの管理職、個人事業主では専従者など

🎨パターンB 「常勤役員等の経営管理責任者」に加えて「補佐する者」が必要な場合

☞ 法人では「常勤の役員のうち1名」、個人では「個人事業主または支配人」が次のいずれかに該当すること

建設業許可 経営業務管理責任者B

<経験の例として次のようなものが該当します>

④ 建設業での取締役2年と同じ会社での総務部長(他に財務部長など)+補佐者の5年以上のア、イ、ウの経験

⑤ 建設業での取締役2年と異業種での取締役3年+補佐者の5年以上のア、イ、ウの経験

 

⑵ 専任技術者に関すること

この専任技術者の要件が一般建設業より厳格化されたものとなります。

建設工事の適正な履行のために、技術上の統括者として営業所に「専任の技術者」の設置が求められます。

専任技術者となるための技術資格等の要件は2つのパターンがあります。

☞パターン1

特定建設業許可 専任技術者1

1級相当の国家資格が該当します。例えば1級建築士、1級建築施工管理技士、技術士などです。

(法15条第2号イ)

営業所専任技術者となりうる国家資格者等一覧へ

☞パターン2

特定建設業許可 専任技術者3

パターン2は、一般建設業の専任技術者要件を満たしていて、かつ指導監督的実務経験を有する場合です。

一般建設業の専任技術者を満たし、工事監督といったマネジメント経験もあるという経験者が求められています。

(法15条第2号ロ)

 

 2⃣ 「お金に関すること (財産要件)」:適切な財産的基礎があること

<次の全てを満たすこと>

☞ 直近の決算において資本金2,000万円以上+純資産4,000万円以上

☞ 流動比率が75%以上であること

☞ 欠損の額が資本金額の20%を超えないこと

一般建設業よりも大きな工事を行うため財産的基礎に関して要件が厳格になります。

※発注者との請負契約で8,000万円以上のものを履行するに足りる財産的基礎が必要とされています。

 

 3⃣ 「営業所に関すること( 施設要件)」:適切な営業所があること

建設業を行うに相応しい「適切な営業所」の設置が求められます。

特に賃貸不動産の場合は、貸主との契約書で事務所としての使用許諾を得ていることが必須です。

 

 4⃣ 「信頼に関すること」(誠実性・欠格要件)

① 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと 

② 法人の役員等、個人事業主、支配人、支店長・営業所長などが「欠格要件」等に該当しないこと。

<欠格要件の具体例は次のとおりです>

建設業許可 欠格要件

 

 5⃣ 「社会保険に関すること」:適切に社会保険に加入していること)

2021年(令和2年)10月の建設業法改正により社会保険の適切な加入が建設業許可の要件となりました。

適切に社会保険に加入していない場合、許可されないことになるのでご注意ください。

<社会保険等の加入義務一覧>

建設業許可 社会保険加入義務

<まとめ>

特定建設業許可は「専任技術者」と「財産要件」の2点、ここが厳格化されていますので要チェックです!

以上、特定建設業許可の許可基準について簡単にご説明しました。

一般建設業と比較すると「専任技術者」「財産的基礎」の面でより厳格な要件となっています。

分かるようで分かりにくい特定建設業許可の仕組み、いかがだったでしょうか?

「建設業許可取得を検討している皆さま」に少しでもお役に立てれば幸いです。

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